始まりは。

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山口 凛音[やまぐち りおん] 同じクラスの男の子。 黒い長髪と、女子みたいな名前から男子によくからかわれている。 きっかけは、2年生の始業式。 担任が生徒の名を点呼したとき、彼の名前を読み間違えたのだ。 『山口凛音さん。』 男の子には「~くん」女の子には「~さん」と呼ぶ先生だった。 『…男です。』 彼のか細い返答に、クラスの皆(主に男子)が爆笑した。 先生はすぐに訂正したし、本当に申し訳なさそうにしていた。 彼も、そんな先生を見て会釈した。良いですよ、と言うように。 しかし、それで終わらないのが中学生男子である。 毎日のように彼に絡んでいき、最初はただの声かけだったものの、今では手が出ている始末だ。 「あれは…いじめだよ。」 呟いてみても、あたしにはどうにかする勇気なんてない。 目立ちたくないし、あたしもからかわれるかもしれない。 でも…。
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