恋のリードは譲れない

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僕の願いもむなしく一週間の時が経った。 僕はだんだんとイライラしてきていた。 もう、どうして良いかわかんない! メルちゃんには会えないし! ユキちゃんはいつも電話にどうしようって言ってる。 あー僕がどうしようだよ。 困ったなぁ。 そして今日もカワシマくんは現れた。 「ねぇねぇ、カワシマくん。一緒にお散歩行こうよ!」 僕は藁にもすがる思いで、カワシマくんの膝のあたりをパタパタと叩いた。 「こらっ!小太郎!」 ユキちゃんに怒られたって気にするものか!もうやけだ! グルグルとカワシマくんの周りをまわる。 「ちょっと!小太郎!危ない」 ユキちゃんの声を無視し続けていたら 「あっ……」 という言葉と共に、二人が静かになった。 思わず上を見上げると、僕のリードが絡まって、動きを奪われたカワシマくんに、リードに引っ張られてバランスを崩したユキちゃんが飛び込んでいた。 「あっ、長峰さんごめん!」 慌てて二人は体を離そうとするけれど、なかなかうまくいかない。 あれっ、二人とも顔が真っ赤だ。 人間は、恥ずかしいと顔が真っ赤になるんだ。 でも恥ずかしいは“ドキドキ”で、たまに良い恥ずかしいもあるって、前にメルちゃんが教えてくれた。 何だかこれは、良い“ドキドキ”な気がする。
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