恋のリードは譲れない

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次の日からカワシマくんとユキちゃんは、いつもの“分かれ道”で待ち合わせをすることになった。 いつものその道を左に曲がって、僕はようやくメルちゃんに会いに行くことができた。 メルちゃんにいっぱい褒めてもらおう!カワシマくんを紹介しよう!と思って、家に行ってみると 「えっ!?ユキちゃんの好きな人ってケイタくんだったの?ケイタくんは、私のパパのお孫さん!よく遊びに来てる」 と言った。 何も知らないユキちゃんが 「この子、小太郎のガールフレンドなの。メルちゃんって言うんだよ」 と笑うと、カワシマケイタくんは、 「うん、知ってる」 と笑い返して、ユキちゃんを驚かせた。 何だ……。 だったらもっと早く、ここに来れる方法があったかもしれないじゃないか。 僕がふんっと鼻をならすと、メルちゃんが 「頑張ったね、小太郎くん。会いに来てくれてありがとう」 と僕の頬に鼻をこすりつけた。 「ちょっと待ってて!」 そう言って、カワシマくんは家の中に入り、メルちゃんにリードをつけて戻ってきた。 初めて外で、メルちゃんに会えた! いつもみたいに鼻だけじゃなくて、いっぱいチューができる。 って僕が喜ぶと ユキちゃんが 「小太郎……はしゃぎすぎ」 と“恥ずかしい”の顔をした。 でも僕はそんなのへっちゃら。 だってユキちゃんとカワシマくんが、今度からはメルちゃんも一緒に“お散歩デート”をさせてくれるって約束してくれたんだ。
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