恋のリードは譲れない

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僕の散歩はユキちゃんの担当だ。 小学5年生の時、捨てられた僕を拾ってから高校1年になった今まで、学校から帰ると、毎日欠かすことなく散歩に連れ出してくれる。 だから僕はユキちゃんが大好きだ。 僕には、最近ガールフレンドができた。 いつもの散歩コースで出会ったミニチュアダックスフンドのメルちゃん。 メルちゃんは僕が家の前を通るといつも気づいて庭までかけてくる。 庭と道路を隔てる柵に必死に顔を差し込んでくれるところが大好きだ。 目がくりくりで、舌を出した時の顔がとっても可愛いんだ。 柴犬の僕とは、何となく毛の色もお揃いのような気がして、我ながらお似合いなんじゃないかなって思う。 メルちゃんに会うのを楽しみに僕はいつもこの道を左に曲がる。 でも先週、事件が起きた。 いつもの道が、その日はたまたま工事中だったんだ。 「工事中か。小太郎、こっちに行こう」 僕は嫌だって言ったけど、通れないのだから仕方なかった。 そのまままっすぐに歩いていくと、ユキちゃんが立ち止まった。
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