恋のリードは譲れない

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どうしたの? とユキちゃんの顔を見上げると、その視線はずっと遠くを見ていた。 僕もそっちを見てみると、そちらから見知らぬ男の子が走ってきた。 「あれっ?長峰さん。何してるの?」 僕たち家族の名字を知っていた。 「あっ、うん。犬の散歩で。川島くんは?」 「俺は、いつもこのへん走ってて。可愛い犬だね。触っても平気?」 その男の子の問いかけにユキちゃんはうんとうなずいた。 僕をなでるその男の子……カワシマくんの手はとても大きかった。 ユキちゃんの様子がいつもと少し違った。 あれ、もしかしてカワシマくんは、ユキちゃんのボーイフレンドかな? そうか、ユキちゃんはこの子が好きなんだ。 カンの良い僕にはすぐに分かった。
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