那須のリゾートホテル

5/6

10人が本棚に入れています
本棚に追加
/41ページ
「この仕事に関しては、 自分でも達成感を持ってるかな… エレナと一緒で」 「私たち、 2人とも ターニングポイントに立ってるのかな?」 「うん、かもね。 俺はまだ引退できないから頑張らないとだけど、 他に目標を持たないとって思ってる」 「具体的に何かあるの 「今日、改めて思ったけど、 ここで…那須でなんか出来たら良いなって思った」 「今流行りの田つ舎に永住? ペンションとか経営して…」 「いや、 うちのかみさんは山とか田舎には住みたくないって言ってるから永住はない」 「うーん。 それじゃ別居するの?」 「まだ漠然としててどうなるかも分からないけど、 温泉に浸かってのんびりしてたら、 そう言う気持ちに気が付いたんだ」 「気がつくって…隼人さんらしいね」 「そうかな? まぁ、ここで何するの?って聞かれたら困るけど 自分の好きなもの、興味のある事なんかをリストアップしてみると、 最初はバラバラに感じるけどそれをうまく一緒に組み合わせたら 何かいいコンセプトが見つかるかな…って感じかな。 これから、ゆっくり自分探しを始めるよ」 「なんか今日の隼人さん、 語るね」 冷やかされた感じましたけど、決して悪い気分でもなかった。 確かに、妻の美由紀にもこれだけ自分の事を話した事は無かった。 「隼人さんの話聞いていて、 私も頑張ろうって気になった」 「簡単なやつだな」 「本当だよ。 私も家庭は大事だと思うけど、やっぱり今はまだまだ働きたいかも。 でも、その反面、子供も欲しいな…って言うジレンマがあるし難しいお年頃なの」 「エレナはまだまだ先が長いから、 ゆっくり焦らず考えれば良いさ。 きっと時間が導いてくれるよ」 「そうかな。 そうだと良いけど」 隼人はグラスのワイン飲み切ると、冷蔵庫にあった、今度は赤のワインのボトルの栓を開けた。 「ねぇ、 いつかその隼人さんの次の夢が叶ったら、 訪ねて行っても良い?」 「その時には老いぼれた爺さんになってるけどね」 「それでも良いよ。 頑張ったねって褒めてあげる」 「それはありがたいね。 その時、エレナは3人…いや4人か5人くらいの子供を連れて来てたりしてね ^_^」 「それか1人からかもよ… ^_^; 」 フレッド・ハーシュの切ないピアノの旋律がヘッドフォンを通して心に響いた。
/41ページ

最初のコメントを投稿しよう!

10人が本棚に入れています
本棚に追加