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あいつら口の中で丸まっちまって、硬くてまあ食えたもんじゃないね。 おまけに刷毛みてえな足がうじゃうじゃ舌先にひっついて、口ん中こそばゆいったら。 無理ぐりに飲み込んで腹の足しにしたよ。 すばしこい虫獲るのに慣れるまでは、ダンゴムシのやろうにずいぶん助けられた。 食わなきゃ死ぬってのは、人間でもカエルでも同じだからな。 だからかな、あれから何十年と経つのによ、今でもダンゴムシ見るとなんつうか、胸がうずくような、妙な気になんだな。 おぉそうだ、そっから俺がどうしたかって話だ。 こりゃいつ神様が間違いに気づいて人間に戻してくれるか分からねえ。 そもそもがおっちょこちょいな奴さんのことだ。 下手すると何か月、何年もカエルのまんまだぞ。 …考えるほど震えたね。 けどどうしたって生きてかなきゃ。 まずは食うもん食わねえと飢え死んじまう。 ケロ公のまんまおっちぬなんて冗談じゃねえ。 なんとしても生きて人間に戻るんだ。 下宿をぴょんと飛び出して食いもんと湿った草がある場所を必死に探しまわった。 嬢ちゃんの住む屋敷は、あれぁ最適だったね。 でけえ敷地、塀の内側は色んな木や花が植えられてて虫の連中にゃパラダイスよ。 おまけに立派な石造りの池も誂えてある。 下宿を出てそう遠くない距離にあのお屋敷を見つけたときゃ、助かったと思ったね。 なんせだだっ広いんだ。 カエル一匹間借りさせてもらうくれえ問題ない。
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