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店主のおやじは、六十も半ばだろうか。
目と目の間が離れ気味だからか、それとも、単に雰囲気だろうか。
焼けた肌に濃い皺がくっきりと刻まれたその顔は、どことなく老ガエルに似ている。
「おじさんこそ、カエル大好きなんだね!こんなにいっぱい!
猫グッズばっかりのお店ってよくあるけどぉ、カエルって、珍しくない?」
相変わらずのスペシャル社交性をナチュラルに発揮しているマリを、僕は畏怖を込めた眼差しで見つめる。
彼女は昔からこうだ。
どんな人間の懐にもするりと入り込む。
初対面のおっさんだろうが誰だろうが、だ。
一方の僕はというと、マリとは真逆。
なるべく人と話さない、関わらない、打ち解けない。
人見知り、というのともちょっと違う。
人間への警戒心を、いくつになってもどうしても解くことが出来ない。
どうやらこっちも天性のものらしい。
だからこそマリは本当にすごいと思う。
僕みたいなやつと、こんなにものほほんと付き合っているなんて。
ともあれ、彼女の類まれなる社交性は目をみはるものであり、心底尊敬する。
今だって店に入って3秒で、店主のおやじと打ち解けているんだから。
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