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「んー、カエルが好きっちゅうかよ」
ちょっともったいぶるように唇を付き出し、次の瞬間、耳を疑うようなことをのたまった。
「俺、若い頃……カエルだったんだわ」
何言ってるんだ、このおっさん。
カエルが好きすぎて、頭の中があれな感じになっちゃってるのか。
マリがひょこっと首を傾けて、僕の顔を覗き込む。
「ね、聞いた?おじさん、カエルだったんだって!」
マリは大きな瞳をきらめかせている。
とっても楽しそうに。
ほら見ろよ…。
おやじが嬉しそうな顔しちゃってるじゃないか。
そんないいリアクションするからだぞ。
しまいには僕ら、四限に間に合わなくなるぞ。
僕の心配は的中した。
勢いのついたおやじの口から語られたのは、とんでもない話だったのだ……。
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