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学校帰りや仕事終わりの人間でごった返す夕方に一人むなしく帰路に就く。夏の手前と言うこともありじわりじわりと出てくる汗が鬱陶しくて、ふと目にとまったペットショップに入り込んだ。
入ってすぐ目に付くのは犬や猫、それらを飼うためのフードや道具。少し足を進めると金魚やウサギなど、一定のファンがいるコーナーが配置されている。その更に奥、追いつめられたように隔離された部屋に爬虫類のコーナーはあった。
「(リクガメ、バジェットガエル、エボシカメレオン、フトアゴ、じゃなくてローソンアゴヒゲトカゲか……)」
彼女の豊富すぎるペットたちの説明を何度も聞いてきたせいか、ケースに貼ってある名前を見ずに頭の中で名前が出てきた事に内心で苦笑しながらケースを一つ一つ眺めていく。
その更に端、場所をとらないようにか何段かに重ねられたケースの中に彼女の最初の家族であるヒョウモントカゲモドキがいた。
彼女が言っていたとおりほとんどの個体はシェルターの奥でじっとしているか完全に寝ているかのどちらかだ。モルフと呼ばれる個体の柄も明記してあるものの暗闇の中ではよく分からない。
「(ジャイアントラプター……高っ)」
五万円の値が付いている個体を眺めながら、下の一番安く売られているハイイエローのシェルターを覗く。
「(気持ち悪いとは思わないし、丸い目とか可愛いとは思うけど……)」
彼女が人間をほったらかしてしまう程傾倒してしまう魅力が分からずにしゃがんだままシェルターの奥にいるヒョウモントカゲモドキを眺めていると、視線だけこちらへ向けていた一匹がゆっくりとした動作で顔だけを覗かせた。
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