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暁から返ってきた言葉は、俺を愕然とさせた。
「…俺を、捨てるの?」
「…は」
何を言ってるんだ?
…ふざけんなよ。
散々弄んだのはそっちだろ?
俺以外にも何人も身体の関係を持ってる事なんて、全部全部知ってる。
もう嫌なんだよ。
「…っざけんな!」
「な、渚」
力ずくで暁を引っペがし、ソファに押し付ける。
訳が解らない。
何で、俺が捨てる事になるんだ。
適当に俺を見てたのはお前だろ?
「…俺はずっと好きだった。だから付き合ってないけど受け入れてた!…でもお前は?俺なんか見ちゃいない。只の欲望の捌け口としてずっと生きていくくらいなら、離れた方がマシだ!!」
「…そん、な」
言いたい事を全部ぶちまけて、ぼろぼろと涙が溢れてきた。
暁は真っ直ぐに俺を見て、違う、と零す。
「…俺は、本当に好きじゃ無い奴に…愛してるなんて、言わない。確かに色んな奴と関係は持ったことはある…でも、渚にしか、愛してるなんて言ってない…っ」
他の奴に言って、ない?
どういう、ことだ?
震える声で、思い付いた事を聞いてみる。
「じゃあ、俺以外の奴と…関わりを持つなって、言ったら?」
「直ぐ別れる。…というか、ここ1ヶ月…ここにしか来てないよ」
信じられなかった。
…こういう時どうしたらいい?
そっと手を離し、暁の前に立ち尽くす。
暁は立ち上がり、俺をぎゅっと抱き締める。
暖かい体温が触れた所から伝わってくる。
心なしか、暁の体温はいつもより高くて、抱き寄せられた胸からは少し早い鼓動の音がした。
「渚…大好き、愛してるよ…。最初だけ、本当は身体の関係だけのつもりだった。でも、駄目だったんだ…渚が好き過ぎて、他の奴に身体を触られるのさえ、嫌になった」
「…嘘、だ」
「嘘じゃない。お前だけなんだよ、渚」
暁の甘い声が耳元で聞こえる。
信じられなくて、まだ一緒に居ていいのかと尋ねると、
「…まだ?ずっと、の間違いでしょ?」
そんな甘い言葉と優しい口付けが降ってきた。
END.
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