Grape/お互いだけ

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「君が好きだよ」 男でも女でも、そう言ってくれる人はこれまで沢山現れた。 でも、 「…貴方が好きなのは、どっち?」 後ろから現れる俺と同じ顔に、相手はいつも驚いた顔をする。 そしていつもと同じように、視線を彷徨わせながら自信なさげに答えるんだ。 「も、ちろん…紗矢(サヤ)君だよ」 あぁ、 またか。 「残念…俺は杏矢(アヤ)だよ?」 本当に俺達を理解してくれる人間なんて、現れない。 「好きなら“俺を”ちゃんと見ててよ」 「「でも」」 俺達はどちらからともなくお互いに唇を合わせた。 「「俺が好きなのはコイツだから。…奪ってみる?」」
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