兄屋木 尊美(あにやぎ たけみ)の場合

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 明るい太陽に照らされたアパートの一室。  打ち倒したゾンビ2体を見下ろして、地元の警察官が2名、荒い息を吐いていた。 「大丈夫か?」 「ああ、問題ない」  警棒からゾンビの血を垂らし、1人の警察官が汗を拭いた。  その足元で、まだ動こうとしているゾンビが「ヴぁぁぁあアアぁぁ……」と唸り声をあげる。 「擬声(ぎせい)行動確認。まだ生きているぞ」 「あぁ、まかせろ」  言葉と同時に警棒が振り下ろされ、ゾンビの頭はぐしゃりとつぶれた。  もう1人が無線でどこかへ連絡を取る。 「アパートの一室で感染者2名を発見。衣服などからこの部屋の住人、尾畑建彦と隣の部屋の住人である兄屋木尊美の2名であると推測されます」 『了解。引き続き非感染者の救出と感染者の処理を続けろ』  ザザッとノイズを発して、無線を切る。  2名の警察官は、次の部屋をめざし、あたりに気を配りながら尾畑の部屋を出て行った。 ――兄屋木 尊美(あにやぎ たけみ)の場合(完)
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