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長い沈黙が続いた。
急すぎるこの事態に直面し、だれも心に余裕など無い状況。
ただ1人、親戚のおばさんのすすり泣く声が耳につくだけだった。
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しばらくして、手術室から来たであろう医者が翔達のもとへやってきた。
「みなさん…お待たせ致しました。どうぞこちらへ。」
嫌な予感しかしなかった。胸騒ぎが高まる。
医者に言われるままについていく。
手術室に入ると、そこには横たわっている祖父の姿があった。
その祖父の頭の横にはモニターがあり、
『0』という数字と、その下には横に真っ直ぐ伸びている線が映されていた。
「午後6時02分、…ご臨終です。」
「…あっけなかったねぇ…!」
祖母が涙を流して横たわっている祖父に訴えかける。
「手も…こんなに冷たくなって…!」
震えている祖母の声が耳に刺さる。
親戚のおばさんも号泣していた。
父と母は無言でただ祖父を見つめている。
翔はその時、様々な思考が頭を巡らせていた。
じいちゃんが死んだ。急に。
あんなに元気だったのに。
昨日の…
昨日の嘘が、本当になった。
俺の…せい?
翔だけが祖父に対して罪悪感と殺したような感覚を持って祖父を見つめていた。
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