第3章 20170403

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目が覚めると、翔の眼前には見慣れた天井があった。 「夢か…。」 不思議な夢だった。 まるで、亡くなった祖父が翔に最期の挨拶をしにきたかのような… 「あ…、そっか、じいちゃん、死んだんだっけ」 思い出し、現実に帰り、気分がどっと暗くなる。 このままベッドにいたくない、と翔はふと感じ、ベッドから離れ、顔を洗い、食卓へ向かった。 食卓には母と妹の悠里がいた。 「おはよう、翔。ご飯できてるよ。」 「あ…おはよう」 母の何気ない挨拶も、何かいつもと違うように感じた。 いや。いつもと違う。やはり何か、少し暗い雰囲気が今日の母の中にはある。 当たり前か。じいちゃんが死んだ次の日だもんな。 翔は椅子に座り両手を合わせてから、皿に乗ってある塩気の効いたソーセージと目玉焼きをゆっくり頬張った。 「うん…おいしい。」 廊下からこちらへ向かってくる足音が聞こえてくる。 開かれた戸から現れたのは、スーツ姿をした父だった。 「翔、食事を済ませたら隣の部屋に来なさい。あ、そうだ、おまえもスーツを着なくちゃいかんな。」 「お父さん、翔はスーツなんて持ってませんよ。中学用に買ってある制服でいいんじゃない?」 「ああ、そうだな、じゃあそれを着て隣の部屋に来なさい。あと、おまえも、朝食の支度が済んだら着替えて、すぐ来るように。」 「わかってるわよ。すぐ着替えて向かいますんで。」 父と母の会話を聞きながら、味噌汁をすする。 まさか、こんな形で新しい制服を着るなんてな。 ふと思いながら、翔は塩気の効いた朝食をかきこみ、両手で手を合わせた。 「ごちそうさまでした。」 (あれ、夢でじいちゃんとどんな話してたっけな。)
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