0人が本棚に入れています
本棚に追加
/14ページ
「おお、どうした翔、もう飯の時間かいの」
祖父は部屋でパソコンを打ち込んでいた。おそらく町内会関連の仕事なのだろう。自分のおじいちゃんがパソコンを使い慣らしている様子は、どこか不思議な感覚にさいなまれるが、ここではささいな日常の風景である。
「あらあら、おじいさん、もう7時ですよ、隣にいかないといけませんねぇ」
祖母は横になりながらテレビを見ていた。ぼんやりとNHKを観ていたようだ。
隣の部屋にいる祖父母を食卓へ呼び、家族全員で夕食を食べる、いつもの日常。
「今日はねぇ、塾で新しい英語習ったんだ!」
「へぇ、どんな?」
「ここにペンがあるでしょ?これね、This is a pen. って言うんだよ!」
「おお、頑張ってるな。」
新しく習い始めた英語は、どんどん使いたくなるものだ(年が経つにつれてどんどん使わなくなるものだが)。翔の英語話を中心に、食卓が盛り上がる。
賑やかだった夕食を終え、テレビを見て、風呂に入り、寝る。
いつもの1日の夜の流れ。
翔はもう今日が『エイプリル・フール』であることを忘れていた。
そうして、日付が1日更新される。
最初のコメントを投稿しよう!