第1章 20170401

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「おお、どうした翔、もう飯の時間かいの」 祖父は部屋でパソコンを打ち込んでいた。おそらく町内会関連の仕事なのだろう。自分のおじいちゃんがパソコンを使い慣らしている様子は、どこか不思議な感覚にさいなまれるが、ここではささいな日常の風景である。 「あらあら、おじいさん、もう7時ですよ、隣にいかないといけませんねぇ」 祖母は横になりながらテレビを見ていた。ぼんやりとNHKを観ていたようだ。 隣の部屋にいる祖父母を食卓へ呼び、家族全員で夕食を食べる、いつもの日常。 「今日はねぇ、塾で新しい英語習ったんだ!」 「へぇ、どんな?」 「ここにペンがあるでしょ?これね、This is a pen. って言うんだよ!」 「おお、頑張ってるな。」 新しく習い始めた英語は、どんどん使いたくなるものだ(年が経つにつれてどんどん使わなくなるものだが)。翔の英語話を中心に、食卓が盛り上がる。 賑やかだった夕食を終え、テレビを見て、風呂に入り、寝る。 いつもの1日の夜の流れ。 翔はもう今日が『エイプリル・フール』であることを忘れていた。 そうして、日付が1日更新される。
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