0人が本棚に入れています
本棚に追加
/14ページ
「あのね、おじいちゃんが急に倒れたらしくて、今さっき、病院に緊急搬送されたわ。」
…なんだよ。それ。
まさか、死んだとかないよな?
まさか、な。
だって昼まで話ししてたんだぜ?あまりいい話はしなかったけど。
元気だったんだ。さっきまで。なんで急にそんなことになる?
翔が動揺しているところに、近所の人が話を続ける。
「お父さんもお母さんも、みんな病院に向かったわ。家にはもう誰もいないし、私が翔君を搬送先の病院まで車で連れて行ってあげるから、乗りなさい。」
言われるがままに車に乗り、搬送先の病院に向かう。
本来ならば今頃父からトレーニングの指導でも受けているはず。
「大丈夫だから、きっと、大丈夫だからね。」
車を運転している近所のおばさんが翔を励ます。
それはそうだろう。翔はまだ12歳だ。不安に感じているだろうと思い、少しでも不安を軽減させようと誰でも精一杯励まそうとするに違いない。
もちろん翔も胸騒ぎと動揺を抑えきれない状態でいた。
ただの動揺ではない。
(昨日言った…嘘が、まさか…本当に…?)
その偶然の不気味さが更に、翔の動揺を増幅させていった。
最初のコメントを投稿しよう!