21人が本棚に入れています
本棚に追加
そしてヴェロニカが「自分は世間知らずだった」と落ち込み、ノア王子が過去を思い出して壁際で涙をしている間にも、マイクとフィリップはどんどん親しくなっていく。
「フィリップ船長はどうして『歴史の先生』の試験を受けに来たんですか?」
「ちょっとこの国に用事がある人を案内してきたんだ。そこでたまたま『王立学院の教師募集』なんて珍しいものを見てしまった。学校の先生になれば、金持ちの子供がわかるし、王侯貴族とも親しくなれる。すると……商売のチャンスが広がる。そう思ってね。しかしまさか……あの鬼畜兄貴がここにいたとはね……。知っていたら来なかったよ」
失敗だった、とフィリップは悲しそうな目でノア王子の方を見た。
ここから小部屋の中は見えないが、窓にヴェロニカがべったりと張り付いているようだ。
「うあ、恥ずかしい王女……」
「あの兄を足蹴にして粗雑に扱える女性がこの世にいるなんて思いもしなかった。しかも、王女で次期女王なんだってね。大変な王女があったものだ」
全ての点において同感である。
マイクもジャスミンも、思わず激しく頷いた。
マイクはふと思った。
最初のコメントを投稿しよう!