:王子の過去:

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 マイクがヴェロニカを助けた回数より、マイクがヴェロニカに助けられた回数の方が多いだろう。  なにせノア王子の襲撃は、昼夜も場所も問わないのだから。 「……君は、兄の好みのタイプだ。でも君は……あの王女さまと相思相愛、だね?」 「相思相愛かどうかはわかりません。俺は、俺の片思いだと思うことにしています」  ちょっと笑ったフィリップが、マイクの襟元から器用にペンダントを引っ張り出した。 「これ。王女からのプレゼントだろう?」  はい、とマイクが照れくさそうに笑った。 「はじめてもらったんですよ。えーっと『婚約指輪』っていうんですか? あれのかわりに、って。でもアイツは『婚約指輪』がなんなのかさっぱりわかってないです。俺も詳しくはわからないけど……」  フィリップが、ぷっ、と吹きだした。 「僕もね、同じものを持っているんだ」  襟元から引っ張り出された、同じペンダント。だが、フィリップの物の方が、少し古い。 「これはね、セレスティナさまから頂いたものなんだ」 「えっ!?」  マイクが思わず立ち上がり、静かにお茶の用意をしていたジャスミンもその手をとめた。 「あのセレスティナさまが、それをフィリップ船長に……?」  フィリップは苦笑してマイクに座るように促した。     
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