:王子の過去:

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:海へ出たい:  ノア王子とヴェロニカとマイクがいなくなったことで、かえって作業がはかどる場所があった。  言うまでもない、採用試験の試験場である。  筆記試験と面接を終えて、ビアンカとヒーリア、コロン一三世と、グーレースが審議を行っていた。 「ではこの女性に加えて、こちらの男性も採用しましょうかな……」  というのも、「この国の歴史」に長けた人物と「周辺諸国の歴史」に長けた人物が必要なのでは、という意見がでた。  そこで改めて試験の成績を見てみれば、一人だけ周辺諸国の歴史に詳しい男性がいた。  随分高齢で国籍も怪しいが、持っている知識は十分だ。 「しかし……あのご老人、どうも気になる」  面接のときにグーレースが反応しなかったのだから、刺客の類ではない。  悪人であれば、受付のときにノア王子やヴェロニカがお帰り頂いているだろう。 (……はて、どこかで会ったような……?) (どこぞで顔をあわせたような……?)  うーん、と法王は天井を睨み、ヒーリアは床を睨むが、答えは見つからなかった。  その傍らでは、ビアンカが伸びをしていた。 「すぐに棍を振り回すヴェロニカさまがいないと、こうもさっさと事が進むのですね」     
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