本編

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 俺が魔王?それはそうだ。目覚めたときから魔王だった。どうしようもなく、魔王だった。だから自由に……。  ああ、そうか。 「お前は、勇者だな」  そうか、言われてみれば確かにそうだ。王女を連れ去った魔王を勇者が倒しに来た。たったそれだけの、なんてことない、よくある物語だ。 「安らかに眠れ」  薄れゆく意識の中、名前も聞くこともなかった少女の顔が浮かぶ。最期にせめて、彼女の顔を……。  ああ、最期に見た彼女の顔は――。
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