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戻るかどうかは、外を見て決めればいい。いつまでもこんな老人の魔物と二人きりというのも勘弁願いたいところだし、ここはひとつ上手いこと言って抜け出すとしよう。
地上に出るにはダンジョンを順番に上がっていくしかなかった。魔物が魔王に襲いかかってくることはないと言っていたし、仮に襲いかかってきても力が出せないとはいえ魔王に傷をつけられるようなやつはここにはいないそうだ。
蜘蛛のような魔物、猪のような魔物、ゴーレム、その他諸々。コミュニケーションが取れるような魔物はいなかったが、俺を見ると道を開けるくらいの対応はしてくれた。
「もう結構きたと思うんだが……」
「え、え?魔王様、ですか?」
「お前は、人間か?なんだ、ダンジョンに挑戦しにきたのか?」
ここにきて初めて人間らしいやつと遭遇した。少しテンションが上がってろくな警戒もせずに話しかけたが、強敵だったらどうしたんだ……。結果的に問題はなかったが。
「覚えてらっしゃらないのですね……。私はあなたに破れ、このダンジョンの門番をさせていただいているヨシュアというものですよ」
「ん?いつからやっているんだ」
「そうですね、二、三百年は……」
「そうか、ご苦労だったな」
完全に人間の見た目だが、こいつも人間じゃなかったのか……。
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