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日が暮れるまで街ゆく人々に声をかけ続けた。結果は、同じだった。
王都ではもう見つけることは難しいかもしれない。俺と同じような立場の人間がいれば、きっといろいろなところを渡り歩いて同じような相手を探すだろう。俺もそうするべきだろうか?
諦めて次の段取りを考え始めた俺に、若い女の声がかかった。
「貴方、魔王ではないのですか?」
「……は?」
一瞬何を言われたかわからなかった。相手から話しかけられるなんてこと、想定もしていない。それも、いきなり魔王といい当てられてしまうと、どう答えていいかもわからない。
「どうか私を連れ出してください。この狂った世界から」
「まさか……」
見つけた。
ドレスを着たその少女は、十代半ばから少し成長したかしていないかというくらいの年齢だった。同い年くらいだろうか? いや、年齢はどうでもいい。
「貴族の家出娘か何かか?」
「そうですね……。それより、貴方も“私と同じ”と思っていいのですね?」
「ああ、俺からも確認したかった。ずっと求めていた相手だ!」
「すぐに追手が来ます。話はここを離れてからにしましょう」
結果からみれば、あっとういう間に味方が見つかった。俺と同じ立場の人間は、こんなにもあっさり、すぐに見つかった。
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