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世界に対する希望が広がった。
とにかく今はこの子の要望を聞き入れ、この子を守らないといけない。
「ひとまずダンジョンに帰るか」
「ダンジョンが住み家……やっぱり魔王なのね。全員、それなりの立場で生まれてくるものなのかしら」
同じ立場だとわかったからか、話し方もフランクになっていた。
「俺は魔王だぞ? ただの貴族の娘だと、比較対象としては少し弱くないか?」
「あら、私はただの貴族じゃないわ。あの王国の王女、しかも、一人娘だから時期女王よ」
「まじかよ……」
魔王、女王、二人だけで豪華なラインナップだ。他にもいるかはわからないが、いるとすればそろそろごくごく少数人で世界を牛耳れるレベルだ。
「ちなみにもう一人、勇者は確認してるわ」
「勇者か……」
やっぱり勇者はいた。その名を聞くとどうしても身構えてしまう……。
大丈夫だとは思う。俺は魔王だけど、魔王として動くつもりはない。勇者だってそうだろう。こんな狂った世界と狂ったNPCといるより、人間である俺を選んでくれるはずだ。
時期王女だって俺を選んでくれたんだ。それなら……。
「随分と、狭い世界ね」
色んなことを考えていたらいつのまにか元いたダンジョンに帰ってきていた。
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