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「……やっぱホモ? 力ずくで?」
クリックして拡大。リアルタイムでノイズ処理。自宅の非力なPCではこうは行かないけど、ネットカフェの最新PCは、そこそこ綺麗におっさんとホームレスの顔を映しだした。
ホームレスの口がぐわっと開き、剥き出しの歯でおっさんの頬に齧りつく。
毟るようにほお肉を引きちぎって、口をもぐもぐと動かすと、ホームレスがおっさんの肩肉を引きちぎった辺りで、おっさんはゆっくりと立ち上がった。
血まみれの顔、ぶらぶらしている片腕。
今度はおっさんも、ホームレスと同じようにふらふらと歩き出す。
おっさんの肩肉を飲み込んだホームレスは、何事も無かったかのように、おっさんとは逆方向へと歩き出した。
「なぁ、おっさん、それなんて映画?」
半個室のブースで、息をするのも忘れて映像に見入っていた僕のヘッドホンがずらされ、見知らぬ女の子が声をかけて来た。
女の子は確かにこっちを覗いている。
僕は周囲を見回し、自分を指差して首をかしげて見せた。
金曜の明け方、日課のライヴカメラ巡回をしていた僕は、おかしな動きをするホームレスに気づいた。
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