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しかもその弛緩しきったような状況は、更に数名がゾンビに襲われて倒れるまで続いた。
事ここに至って初めて、さすがにこれがドッキリの類ではないと何名かが気付きはじめる。
僕は、女の子を肩に抱えると、周辺のゾンビを何体か蹴り倒し、何か武器は無いかと周囲を見回した。
「なに……してんのよ?」
「いや、武器がないかなと思って」
女の子を抱えたまま、すぐそばで襲われかけている人の足を払って転ばせ、ゾンビに空振りさせる。
よろめいたゾンビの腹を蹴って吹き飛ばし、僕は何事も無かったように起き上がってくるゾンビにため息をついた。
「バッカじゃないの?! ゾンビは頭潰さなきゃ死なないの。そんなことも知らないの?」
「って言われても、こっちは素手だし……」
自衛隊で半年体は鍛えてきたが、素手で頭蓋骨を砕く練習はさすがにしてない。
|89式小銃とまでは言わないが、せめて9mm拳銃の一つでもあればなぁ。
「……良いのがあるよ! あっち……いや、その前に下ろしなよ」
肩の上で、女の子がじたばたと暴れる。
さっきの可愛らしい悲鳴が嘘みたいだ。
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