562人が本棚に入れています
本棚に追加
言うほどか?
「その子がらつまからメールの返事が来ないって俺んとこにlineあったよ。嫌われちゃったのかなって心配してるみたいだった」
「あー・・・忘れてた」
「忘れんなよ」
忘れちゃいない。天然とかなんとかいいながらアホをどうにか可愛く見せようと必死だった女。
「じゃ俺伝えたからな。返事送れよ」
高橋が席を立ち、おやすみーと手をひらひらさせ歩いていく背を見送りながらそんな返信するような内容だったか?と、返すかどうかは置いといて一応メールを確認する。
自分に気がありそうな人間に返事をするかしないかっていう境界線があるとすれば、それは「男慣れ感」と「渇望感」。
メールするだけでドキドキされたり意識されそうな人間には返事なんて絶対しない。たぶんこれってセフレを持ちたい男の感覚ににてると思う。セックスしたからって夢中になられたら怖いっていう。
自分にはやりがいのある仕事も、相棒と呼べるバイクもある。充実した毎日を送る自分が、恋愛にしてもセックスにしても、日々満たされない気持ちやからだを持て余し、誰かに埋めてもらおうと必死な人間に間違っても自分から触れることはしない。
月曜。
『昨日はバーベキュー楽しかったね。あのあと南くん達と別れてから美也ちゃんや真奈美とかと「次は今日のメンバーでキャンプ行きたいね」って話してたんだぁ。計画たてるね♪あとね。私も南くんのこと、高橋君たちが呼んでたみたいに「つま君」って呼んでもいいかな?実はずっとその呼び方かわいいなぁって思ってたんだぁ』
つま君って呼んでもいいかな?
馴れ馴れしさに眉をひそめた。
4年住んでるこの寮の住人や仲のいい友達は南のことを親しみをこめ「つま」と呼ぶ。名前の「吉馬」をひらがなで読んだ時の下から二文字をとって「つま」。
それを同じように呼んでん仲良くなってるつもりかもしれないけど、距離の縮め方ってそういうものじゃないのでは?
最初のコメントを投稿しよう!