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羽の納期まであと二日だった。 火曜、胴体班に自分の班員を二人もっていかれた穴を埋めるため今日から翔太も現場にはいっている。 アパートに戻り会社で出来きず持ちかえってきたデスクワークにとりかかる。時間は23時を標示していた。 羽が完成した後の工程に必要になる女王のしっぽと胴体を結合させるための出荷資料を作成する。 途中2回データのバックアップをとり忘れたままポンコツパソコンが凍結した。やり直し、気づけば3時を過ぎていた。 パソコンは苦手だ。資料作りのセンスもない。 かなたから受け継いだほぼ全ての仕事が自分には向いていないことばかりだ。 それでも、あと二日で完成だった。 ただどの班にも当てはまることだがリカバリのきかないやっかい事が舞い込んでくるのは常にこのタイミングだ。 歯車はいちど狂い出すと一気に崩れる。たった0.1ミリのちいさな傷で作業は停止する。 開始するためには設計の判定が必要になるため最短でも3日の足止めをくらうことになる。そうなれば羽は間に合わない。 今だって現場からトラブルの知らせが入らないかと気持ちは落ちつかなかった。 一度データを保存し、目頭をもんで首を回した。
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