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冷蔵庫を開け缶ビールを取ろうとしてやめた。今飲めば出勤までにアルコールは抜けない。
どうするか考えコンビニへ行きアルコールフリーのビール一本と忘れていた晩飯の弁当を買った。
部屋に戻りアルコール0%の表記をながめていたら鼓膜に南の声が再生された。
ーー気を使わせてる。
ーーそうさせてるのは松永さんだ。
あれには腹が立った。プルタブを引き一気に飲み干す。酔いはしないが確かに飲んだ気にはなる。今はこの中途半端さに救われる。
全部飲みきりベランダに出る。煙草に火をつけるとポケットの携帯が振動した。
『メッセージが届いています』
サイトからの通知だった。煙を吐きながら確認する。
『ねーどこ住み?今から車でサクッとどう?』
『舐め犬飼いませんか?』
『オイラ28のフリーターでーす!!』
ここにはこいつらしかいないのか。ため息がでる。
これもまた自分には向いていないものだった。なのにずるずる続けているのはあれと同じだ。
毎月払い忘れる電話料金の引き落とし手続きをまた今度また今度とあとまわしにしたり。あとだらだら吸い続けている煙草。
やめた方がいいとわかっていながら、やめどきを逃しているもの。
メールをこっちから送ることは殆どないため会員ポイントだけが貯まっていく。
新たにメールが届いた。
『こんばんは。夜分遅くすみません。ショウさんのプロフィールを拝読しました。その中にある「真剣にセックスフレンドを探しています」っていう一文について聞きたいことがあります。質問してもいいでしょうか?』
翔太はもうここで誰かに会うつもりはなかった。返信することに意味があるのかわからないが『何が聞きたい?』
率直に返してみた。
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