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昼休み。 「南は?」 パンをかじりながら午前の作業記録をつけている沢に訊ねた。 「南ならさっき『ちょっと寝てきます』つって出てきましたよ。裏口で転がってんじゃないですか?」 またかよ。 裏口で転がってって犬猫じゃねーんだぞ。 「なぁ…今日あいつおかしくねーか?」 「南ですか?」 「…ああ、今日つーか、昨日あたりからだな」 沢が「あー…」と卓上のカレンダーを手にとり「南、うちの班来てそろそろ半年になりますよね?若さと勢いと体力で乗りきれなくなってくる時期…」 夜勤の話だとわかった。 自分達よりきつい勤務態勢の仕事なんかいくらでもある。それでも二週間つづいた夜主体の生活を、翌週から昼の生活へと切り替えることが思う以上に難しいことは翔太もよく知っている。 そして夜勤から日勤になり、昼の生活リズムができはじめる頃また夜勤の二週間がスタートする。 からだがついていってないのか、ただの夏ばてか。どちらにしても疲れているように見えた。 ふいに隣の班スペースから罵声という名の激が聞こえてきた。どの班も納期を間近に最終追い込みに入っている。
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