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置いた鍋を取ろうと手を伸ばす。
lineの着信音が鳴った。松永かと思ったら相手は昨日居酒屋で南を追いかけてきた女だった。
『私、相手が南君だったらセックスフレンドになってもいいかも…。なんて冗談!でも少し本気…。突然変なこと言ってごめんなさい!気にしないで(汗)』
はげしくしらける。
昨日あの場で『セックスフレンド』を話題に投入したこと、本気でセフレ募集中とでもとったのか。
ちがうな。
文章はたしかに嘘偽ることができるけど、隠し切れないことも多いのが実際。
下手な駆け引きしたってそれが相手にばればれならその時点で覚められるだけ。二十歳こえて駆け引きの仕方も知らないなんて同情する。
こっちの興味関心が0なこと、うすうすわかってんのに認めないだけだろ。「セックスフレンドでいい」なんて言うんだからさ。
けど内心は、二番手につけておいてタイミング見ながらのしあがる算段。
どうしてわかるのか。
自分がこいつならきっとそう考えるからだ。
なんであんたじゃだめかって?
しゃらしゃらひらひらした格好が好みじゃないからとか、常にこっちの機嫌伺うような上目使いが怖いからとか、無理な理由はいろいろあるけどいちいち並べられたって腹立たしいだろ。
だからたいていこう言う。
『ぴんとこない』
打って迷わず送信した。
ひどい?
でもその気がないのに期待させつづける方がもっとひどいから。
あんたのことがどハマりする男もいるんだろうし探せ探せ。
なーんて。
人様のことに興味はないのでどこまでも他人事。
気を取り直し階段をかけあがる。
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