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同級生の”元”友人達とじょじょに距離を置くようになり、僕はクラスで益々一人で居る事が増えた。相沢くんは反対に、僕のクラスにちょくちょく遊びに来て友人を増やしていった。僕が会話した事も無いようなギャルメイクの女子と笑いながら話している。
その姿を見て羨ましくないと言えば嘘になる。だが、僕に彼の真似はできない。僕は今のままで良かった。以前より学校に来るのが楽しかった。
相沢くんと知り合って数ヶ月がたった。試験前の放課後、今日は帰って勉強を励む事にした。だが帰り道の途中、教室に教科書を忘れた事に気づいた。面倒だな、と思いながら来た道へ戻る。
試験前の放課後にだらだらと教室に残ってる生徒は少ない。居るとしたら居残り勉強をしているか、勉強する気の無い不良だ。
教室の前に着いた時、相沢くんの声が聞こえた。扉を開けようとした手が止まる。クラスのギャルメイク女子の声も聞こえた。
「相沢って岸本と仲良いの?」
僕の手が止まった。なんとなしに聞き耳を立てる。
「ああ、仲良いよ」
「えー、やめた方がいいよ。あいつキモくない? 相沢もハブられるよ」
「分かる、あいつキモいよな」
相沢くんがそう答えようと平気だった。寧ろそういう反応が普通だと思っていた。ここで教室へ入る度胸も無いし、そんな事したら相沢くんに悪いとすら思っていた。
女子たちとの爆笑が起きようと、僕は明日も変わらない態度で彼と接する自信があった。だから平気だった。何を言われても。平気だと思っていた。
「はぁ? ざけんなアイツ超いい奴だから」
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