2章

7/7
前へ
/30ページ
次へ
おずおずとドンくんがそうやって質問した。すっかり勘違いしているようだ。ただ、彼がそう考えるのも日本での生活が短いので無理からぬことだ。僕は優しくやんわりと彼の間違いを指摘した。 「いやいや、違うんだよ、ドンくん。相手の名前はもう入ってるよ。注文したら24時間以内に相手側の記入事項は全部書いてある婚姻届が届くんだ。後はサインして印鑑押すだけ」 「OH」とドンくんが小さくつぶやいた。 きっと日本が進みすぎていてカルチャーショックを受けているに違いない。しばらく感動のためかだらしなく口を開けていたが、「でも知らない人ですよね?怖くないですか?」と尋ねた。 僕は笑いながら答えた。やはりまだまだ日本とベトナムでは文化レベルの違いがあるらしい。 「だって人工知能のアレックスが選んでくれるんだよ。自分で選ぶよりずっと安全でしょ」
/30ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加