顔面

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亜利沙は、その人物がテーブルに近づいて来るのをじっと見ていた。 勇士は、テーブルへ来た浮気相手を隣の席へエスコートした。 勇士は、浮気相手に帽子とマスクを取るように指示し、相手が取った所で亜利沙と勇一に紹介した。 「これが今付き合っている相手の‥‥」 その瞬間、勇士と勇一と勇士の浮気相手の3人はテーブルに突っ伏し即死した。 「へえ、やっぱりドッペルゲンガーって本当なんだ!」 亜利沙は驚きの声を押し殺し、ニヤついた顔をしながらスマホで興信所に電話をした。 「もしもし?お世話になってます、こないだ旦那の浮気調査をお願いした亜利沙です。今3人とも死にました。これで旦那と旦那の兄の保険金が下りますんで依頼した探偵の代金、一括で払います」 ウェイトレスが近づいてきた。 「お客様、お冷をお注ぎ致しましょうか?お客様?お客様?」 ウェイトレスは、虚ろな目で微動だにしない勇士の肩に軽く触れた。 「はっ!」 勇士は、我に帰った。 そして閑散としたファミリーレストランのテーブルでポツンと1人、食べかけのナポリタンを再び食べ始めた。 「お客様、体調は大丈夫ですか?お冷をお注ぎしてよろしいでしょうか?」 勇士は丁寧な対応をするウェイトレスの顔を見て言った。 「亜利沙!」     
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