ひとぎきぼれ

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 いつまでもずるずると引きずり続ける私は、親友に引っ張り出されて、人生初の合コンとやらに出席していた。  一応、親友の合格がでる程度にはめかし込んできたけど、やる気ゲージは底辺をさまよい、会費分の元を取ろうと、ずっと口をいっぱいにしていた。  「ねぇ、食べ過ぎじゃない? 格好いい人みっけても、お持ち帰りしてもらえないよ~」  肉食係女子というのは、こういう奴のことを言うのか……。  私はうろんな眼で、彼女を見返した。  「誰も食べないなら、ここのデザート、私が持ち帰りたいんだけど。なんか、容器とかないかな」  「バカなの? そんな入れ物、この小さな鞄のどこに入れてくるって言うのよ!」  確かに彼女の鞄は、おしゃれな女の子が持っているような、慎ましいピンクのハンドバック。  「まぁ、そうだね。そこから入れ物が出てきたら、私は尊敬を込めて、あんたを青い狸って呼ぶよ」  「誰が寸胴よ! あんな丸いものと一緒にしないでちょうだい! あんたこそ、小学校の時のあだ名が破壊音波ってばらすわよ!」  「っ、もうばらしてるじゃない!」  「ぷっ、くっ、ははははははは!」  私が叫んで立ち上がったのと、後ろで爆笑の声が響きだしたのは同時だった。  私も親友も、ぎょっとして後ろを振り向く。  そこには長身の男性が、体を折り曲げるようにして、笑い続けていた。  私と親友は、じとっとした視線を合わせてから、苦笑した。  そんな雰囲気に気づいたのだろう。男性は笑いをこらえながら(成功しているとはいえなかったが)、片手でにじむ涙を拭い、私たちの方をみた。  「ごめん、聞くつもりはなかったんだけど、こ、声が大きくて。何とかこらえようとしたんだけど、もう、どうしようもなくて……」  いいながらも、また呼吸困難に陥っている。  「失礼でしょう。そりゃ、少し変な会話だったけど……ん、どうしたの?」  親友が変な顔をする。  そりゃそうだろう。  私の顔は茹で蛸のように真っ赤だ。  さっきまで、「仕方ないね」という感じで苦笑していただけなのに。  私は涙をにじませ、頬を染め、そんな自分がなおさら恥ずかしくて、両手で顔を覆っている。
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