壱:オトコの正体

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「あ、ゴメンね、寝てるのに邪魔して。えっとね、みんなが知りたがっててね、ええと」 「何。早く言ってくれる?」 それでも、イジメとまではいかないが、嫌がらせ程度のことは横行するようなところはあった。 美穂は、生来の気の強さと群れない立ち位置から、クラスメイトたちのグループ内のいざこざとは無縁ではあったが、彼女たちのグループの結束のため(・・・・・・・・・・)利用されることは多かった。 「あ、そっ、その髪、素敵だね。カットが斬新っていうか……。有名な美容師さんとかに切ってもらったりしてるの?」 美穂は、ため息をついた。 仲間入りを果たすための条件(・・)が、美穂へのこの手の質問なのだ。 彼女たちにとって自分は、理解し難い未知のもの。少しの恐怖と、ささやかな蔑みの対象。 「これは、自分で切ってんの。美容院代ケチってるだけ。──つーかさぁ」 そこで美穂は教室中を見回し、声を張り上げる。 二三人、もしくは五六人の固まりが、室内の至るところで内緒話やら共通の話題で盛り上がっていた。 「誰だっけ? この前あたしに同じこと訊いてきたヤツ。 いちいち答えるの、メンドイんだよね。あんたら、ちゃんと連絡網回しといてくんない?」
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