参:サダメられし出逢い

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      《一》 ふらふらと歩いていたら、迷子になった。 (この歳で迷子とか、ないだろ) 右を見ても左を見ても、草と木しかない。 小石の山は“結界(けっかい)”を表していて、そこを越えるとセキコの領域の外になると聞かされていた。 (でも、そんな小石の山なんて、見てないし) 見逃した可能性は否めないが、それでもまだ、領域外とは限らない。 歩いていれば来た道にたどり着くだろうと、安易に考えていたのは最初のうち。 やがて陽が傾き始めると、美穂の胸中は穏やかではなくなった。 「さ、猿助、いない……?」 物は試しと声をかけてみたが、反応がない。 (付いて来てないの? あのサル、使えないんだけど!) 自分で拒んでおきながら、美穂は八つ当たりぎみに内心で文句をいう。 昨日、セキコから聞かされた話を思いだした。 「“結界”の向こう側には行かないようにね。 アンタに害を為す『物ノ怪(もののけ)』がいないとも限らないから」
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