参:サダメられし出逢い

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「は、“花嫁”って、なにすんの? あたしにできることなんて、限られてるんだけど! あんたの名前、口に出さないで伝えられるかなんて、全然自信ないし!」 「アンタはアタシの側にいればいいの。それで充分。 真名に関しては、前にも言ったと思うけど、アタシたちの問題でもあるから、気にしなくていいわ」 必死に言い募る美穂に対し、セキコの返答は軽くいなすようなもので、真剣味が足りない気がした。 (なんでこいつ、こんないい加減な調子なんだよ) 真剣になった自分が馬鹿みたいだ。 「ほら、帰るわよ」 立ち上がって、セキコが片手を美穂に差し出す。 美穂は、なんだか釈然としない。 「……結局あんたって、男でも女でもイケる人ってこと?」 確認せずにはいられなかった美穂の下賤(げせん)な質問に、返ってきたのは盛大なため息だった。 「アンタって、下品な子ねぇ……」 「は? なにソレ。お前に言われる筋合いないんだけど!」 「──この際だから、ハッキリ言っておくわ」 両手を腰に当て、怒ったような表情でセキコが美穂を見下ろす。
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