参:サダメられし出逢い

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(こ、こいつ、いまあたしにキスしやがった!) なんの前触れもなく、もののついでのように押し当てられた唇。 美穂は、怒りと恥ずかしさがない交ぜになり、思いきりセキコをにらむ。 「お前、いきなりナニしてんだよ?」 「あら、嫌だったの?」 「は? イヤとかそういう問題じゃなくて──」 悪びれた様子もなくセキコに問い返され、美穂は勢いに任せて言いかけたことの結論に、口を閉ざす。 (……あたし、なんで怒ってるんだろ) 嫌、ではなかった。 それならなぜ、こんなに気分がモヤモヤとしているのだろう? (くやしいけど、あたしはこいつのことが好き) 自覚して、本人にも想いを伝えた。 けれども──。 美穂は、セキコから視線を外す。直視して訊くには、勇気がいったからだ。 「お前さ……あたしのこと……き、なの?」 「え?」 「だから! あたしのこと好きなのかって訊いてんの!」 結局、ケンカ腰の言い方しかできない自分は、可愛いげの欠片もない。 解っていても、長年染み付いた性格は、簡単には変えられなかった。 (…………って、返事、しろよ)
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