参:サダメられし出逢い

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確かに、いまの美穂の訊き方には難がある。 だからといって、長い間を空ける必要が、どこにあるのか。 美穂は、外した視線をこわごわと元に戻す。 いつか見た、素の顔の青年が、そこにはいた。 「……あら、ヤダ……」 ようやく口を開いたが、まだ放心状態のようで、言葉が続かない。 直後、赤くなった顔を片手で覆い、深いため息をついた。 「アタシとしたことが、抜かったわ……」 何やら反省しているようで、美穂は自分の態度を決めかねてしまう。 「アンタが、とてつもない『おニブさん』だってこと、忘れてたわ」 ふっ……と、あでやかな美貌に笑みが浮かぶ。 いとおしげに細められた眼差しが向けられ、美穂の胸がざわめいた。 「ちゃんと伝えなきゃ、伝わらないってコト」 美穂が見惚れた長い指が伸びてきて、美穂の耳を軽くなでたあと、髪に差し入れられた。 近づいて、近づけられた互いの顔。 「好きよ、美穂」 つややかな声音がつむぐ、優しい響きの想い。 そこに含まれた色に、美穂の心が同調するように染め上げられる。
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