恋の終わり、恋の始まり

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こいつが──斉藤を?俺は、クラス委員である友人のことを思い出す。 確かに斉藤は良い奴だ。でも、こいつと斉藤に接点なんてあっただろうか? 活発で、高校生にもなって外を走り回ってバスケやサッカーを俺たちと一緒にしているような友紀と、真面目で委員長をしていて外で遊ぶより教室で本を読んでいる方が似合う斉藤。 同じクラス――それ以外に、二人には接点は見当たらないように思う。 ……そんな俺の疑問に答えるように友紀は口を開いた。 「一学期の終わりに、さ……走って学校に行ってたら、校門の近くで思いっきり転けちゃって」 「あー……お前ドジだもんな」 「ウルサい」 友紀はグーで殴る真似をするけれど、声にいつものような迫力はない。 誰だ、この目の前にいる――まるで女子のような生き物は。 俺の知っている友紀は、女なのに女っぽくなくて……少年のような――。 「それで、さ……」 「……うん」 「たまたま通りがかった斉藤が、ハンカチ……貸してくれたんだ」 「へぇ……?」 「で……君は女の子なんだから、気をつけるべきだ、なんて言われて……」 その時のことを思い出したのか、友紀の顔がドンドンと赤くなるのが分かった。 ――その姿が、何故かとても気持ち悪い。
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