1の2章

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わたしには理解不能な自問自答にウンウンしながら、タオルで汗を拭いている。 派手なピンクでハート柄のタオルは…母の趣味だと言いたい。 『…』 そういえば…。 木曽君とは同じ大学でも学部は違うのに、どう友達になったんだったか… 覚えてないって、かなり失礼?今更聞くのも気まずくなりかねない? ふと、そんな疑問が浮かび―…でも別に、学部のくくりなんか廊下やカフェにまで、当然ないわけだし… 友達の友達だった可能性が高いと思った。 同じ学部の友達はみんな、掃苔には興味がないか…お墓参りを敬遠したり、怖がったりで。 わたしも私的な歴史巡りなどは…気楽だし、融通がきくし自由だし、一人がいい派。 特に、掃苔へは… なので今、誰かと来ているのがとても不思議で、新鮮な気持ちだ。 『…木曽君』 「な~ん?」 帽子がわりか…タオルで額から頭を包んでくくっている姿に、大工さんのそれを思い出す。 『…あれ…?』 何だか少し、精悍になった横顔…見覚えある…ような…? 「ミズキ?どしたん」 『…あ、みんなで来るんもええモンやなぁ思て…新鮮で…』 「みんな…?オレだけやけど、そら一人より二人のが…やっぱオレおったら何かと心強い!?」 顔を輝かせた友達に首を振る。 ハッキリ、横に振った。 『別に心強ないよ…?なんしか…便利ゆうたらアレやけど…』 「ま、まぁ、心強くはあれへんよな…遅刻するわ茶ぁ飲み干すわタオル借りるわ…。逆に足手まといでしかないやんか!今んとこッ」 今のところ、つまり…その先に未来がある!てなぐさめたら、大袈裟かなぁ…青春くさい? 青い夏の空を仰いだわたしは、青い春に興味ない。 『…別に心強ないけど、作業の分担できるんは便利…ゆうか…助かるで…?』 と、ペットボトルを渡す。 『お水かけは…木曽君の分担。暑いしたっぷり…まんべんなくかけてあげて?わたし、お線香つけるから』 「…オレがミズキ助ける…名誉挽回の水かけチャンスくれんのか!」 『え…結構、重いし腕がしんどなるからやって欲しいだけ…』 「腕が助かるっちゅう意味か…フッ腕もミズキの一部です!」 『心静かに丁重に』 「ハイ…黙ります…」
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