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「ミズキから手ぇ合わし?」
促されたわたしは、その場に座った。
「ッまさかの正座!?」
『え…な、何?』
正座…の仕方に問題でも?と、足を確かめるけど
「いやいやいや、下!土も濡れてんのに!服濡れるで!?汚れてまう!」
『え…木曽君が水、まいたからやん…そら服濡れるわ…』
「おやおやおや、オレのせい!みたいになってるわ。ミズキが土にも水をって―…だから何で正座なん?痛いやろ?」
また変な事を聞かれた。
当たり前の事を。
『痛いよ…?石刺さる…』
「ただちに正座やめッ」
『えッ』
二の腕を掴まれて焦る。
『いつもしてるし…夏はこんなん…すぐ乾くで?泥汚れは洗濯板に…叩きつけて洗えば…でもジーンズて、汚れてナンボちゃう…?』
「…ミズキ…案外ワイルドやな…冬は―…怖いし聞かんとこ。洗濯板て…川で洗濯はやめてな…オレ、山で柴刈りたない」
脱力したように、腕を掴む力も緩んだ。
「いつも正座…やったらせな、気ぃすまんかぁ…」
『今どんどん濡れてるし足痛い…邪魔せんと、はよ手ぇ…離して欲しい…』
「け、結果的に邪魔しとったッごめ―」
『わたしの習慣、知らんねんし…しゃあないよ?…多分』
「!毒吐かん…の?」
不思議そうでも腕を離して貰えてやっと…手を合わせられる。
墓碑に彫られた文字を見上げ…まず、思うところを。
『一名…騒いですみません』
「こ、声に出すあたり、やっぱミズキさんッスね…。いやもう…ほんまにすみません」
二人で反省した後は、ソッと目を閉じた。
『……』
「……」
『…はい、木曽君も拝み?』
手を合わせ終え、痛かった足をソロリと立たせる。
「意外と拝むん短い…1時間はかかるかと」
『え…そんな話込むん?えらいね…積もる話あるんや木曽君。ごゆっくり。わたし…先帰る』
「お願いおってッ。悪いけど、この人達と1時間も話…時代もちゃうし、話合わせられる自信ない。拝むだけですみません」
慌てなくていいのに…
「失礼します」
木曽君は正座しなくていいのに…痛いし濡れるのに。
『…』
そうか…
同じ事した自分でも気になってしまうのだから、邪魔なんて…言って悪かったなぁ…。
変やなんて―…
思う…わたしが変…?
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