1の2章

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「ミズキから手ぇ合わし?」 促されたわたしは、その場に座った。 「ッまさかの正座!?」 『え…な、何?』 正座…の仕方に問題でも?と、足を確かめるけど 「いやいやいや、下!土も濡れてんのに!服濡れるで!?汚れてまう!」 『え…木曽君が水、まいたからやん…そら服濡れるわ…』 「おやおやおや、オレのせい!みたいになってるわ。ミズキが土にも水をって―…だから何で正座なん?痛いやろ?」 また変な事を聞かれた。 当たり前の事を。 『痛いよ…?石刺さる…』 「ただちに正座やめッ」 『えッ』 二の腕を掴まれて焦る。 『いつもしてるし…夏はこんなん…すぐ乾くで?泥汚れは洗濯板に…叩きつけて洗えば…でもジーンズて、汚れてナンボちゃう…?』 「…ミズキ…案外ワイルドやな…冬は―…怖いし聞かんとこ。洗濯板て…川で洗濯はやめてな…オレ、山で柴刈りたない」 脱力したように、腕を掴む力も緩んだ。 「いつも正座…やったらせな、気ぃすまんかぁ…」 『今どんどん濡れてるし足痛い…邪魔せんと、はよ手ぇ…離して欲しい…』 「け、結果的に邪魔しとったッごめ―」 『わたしの習慣、知らんねんし…しゃあないよ?…多分』 「!毒吐かん…の?」 不思議そうでも腕を離して貰えてやっと…手を合わせられる。 墓碑に彫られた文字を見上げ…まず、思うところを。 『一名…騒いですみません』 「こ、声に出すあたり、やっぱミズキさんッスね…。いやもう…ほんまにすみません」 二人で反省した後は、ソッと目を閉じた。 『……』 「……」 『…はい、木曽君も拝み?』 手を合わせ終え、痛かった足をソロリと立たせる。 「意外と拝むん短い…1時間はかかるかと」 『え…そんな話込むん?えらいね…積もる話あるんや木曽君。ごゆっくり。わたし…先帰る』 「お願いおってッ。悪いけど、この人達と1時間も話…時代もちゃうし、話合わせられる自信ない。拝むだけですみません」 慌てなくていいのに… 「失礼します」 木曽君は正座しなくていいのに…痛いし濡れるのに。 『…』 そうか… 同じ事した自分でも気になってしまうのだから、邪魔なんて…言って悪かったなぁ…。 変やなんて―… 思う…わたしが変…?
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