1の2章

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それはない。 真面目に手を合わせている彼の背中を、ジ~ッと。 「…ふぅ。お待たせ」 わたしがいつもしてる行為は、もしかすると人とは違うのかも…しれなくても。 「ミズキ?お~い、どしたん?ミズ…そんな…鋭いまなざしでオレの後ろ見るんヤ~メテ~ェ…何か喋ってぇ~ェ~…」 自分には極当たり前の習慣で…人とは違うモノはある。 変でもやりたいから、だった。 『…気にせんとこ』 「なッ何何何何何を?」 どう思われても…今更やし。 『…別にええや』 「なッななななな何がええん!?主語ッ…頼むし主語つけてッ」 『…あ、木曽君…』 「ハイッ」 声を裏返した彼はいつの間に…立ち上がったんだろう? 随分、顔を引きつらせて…足がしびれたのかな… 『更に汗だくやね…』 「今や98%が冷や汗でできてる状態や」 『?もう1時間経ってたん…?帰り損ねた…』 「そ、の会話から3分も経ってへんのに―…ハッ!異次元の話では時の流れが変とされがち!1日経った筈が実際は数分とか…そうなんやなミズキ?やっぱ見える人なんやな自分!?」 な…何を?何の話? 詰め寄られてあとずさりつつ、リュックを持ち上げた。 『…かたづけしよか…』 「無視すな」 やっぱり変な木曽君と、次に…掃苔へは来ない気がする。 時間がかかって仕方ない。 騒がしくしたくない。 「噂はほんまなんやな…?」 『え…?』 噂…何の噂…? なおも詰め寄る彼を、回避するには… 『と、とにかく…かたづけて、かき氷…』 「!かき氷…せやった。カラのボトル、入れるで」 わたしからリュックを奪って、ペットボトルを詰めていく。 と、逃げるように大慌てだったのが急に、ピタッととまって。 「…にしても、このリュック。容量デカいし重さにも強いし…ええなぁ。ええわぁ…」 『そ、そぉ…?』 お気に入りを褒められるのは、とても嬉しいモノだ。 変じゃない。 「…よっしゃ。荷物OK。積もる話はかき氷、食いながらや」 『わたしのリュック…』 「気にせんと」 自分の肩にかけた荷物を見て、ニッと笑われる。 「ミズキがスル~…帰らんよう預かっといたる」 『え~…』 「ちょ…マジ帰る気ぃ―」 「―珍しい…こんなとこ拝みに来はったん?お二人さん」 『え…』
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