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これ以上なく夏を満喫した格好で、太陽に茶髪をきらめかせながら、高校からの付き合いで大学の同級生でもあるナオトが演技がかりながら言う。
「……その企画の結果がここなのか?」
笑顔の家族づれがひっきりなしに入っていく入り口、その上の看板を無気力に見上げると、また新に小さな子供が俺の足にぶつかってその中へ駆け込んでいった。
「うんっ! シュウ、プール好きでしょ?」
太陽の下、いつまでたっても見慣れない眩しい笑顔が、俺を見て嬉しそうに言う。
「え…いや……」
幹は、クリスマスイブの日に知り合った俺の彼女だ。しばらくは友達同士だったが、2月2日(しっかり記憶)に突然幹から「好き」と言われ、俺達は付き合いを始めた。
実は出会った時から好きだったので、イブから2ヶ月ぐらい片想いしていた俺は、半年付き合ってもまだ、幹との付き合いに安心して落ち着くということが出来ていない。幹と俺が出会った時幹は高3だったが、今彼女は俺達と同じ大学に通っている。
何だか照れてしまってその笑顔を直視出来なかった俺は、とりあえず目の前の問題を片づける為に無言でナオトの胸ぐらをつかんだ。
「エヘ☆ 睨んじゃいやん♪」
補足として、俺は生まれてこのかたプールを好きだったことなんて一度も無い。
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