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「……部長? 何やってるんですか?」
部室に到着すると、そこには、現在まだ初春だというのに(コンビニにはまだおでんと中華まんがあるというのに)、アイス(しかもガリガリ君)をくわえながら部室のドアに耳を押し付けている部長が居た。
「ぬふみぎひ」
「ぬ…盗み聞き?」
何とか聞き取って言葉を返すと、部長は半分残っていたアイスを一気に呑み込み(見てるこっちの頭が痛くなる…)、棒を遠くのゴミ箱に見事投げ入れた。
「傘でも借りに来たのか」
「あ、はい」
(さっきの「ぬふみぎひ」は一体…)
「今は客が来ているが、入る入らないはオマエの自由だ。面倒だから卒倒はするなよ」
「? 卒倒?――って、お客さん!? それって、アニメーション部にですか?」
アニメーション部にお客さんなんて初めてだ。
何だか嬉しくなってはしゃぐと、部長はニヤリと笑った。
「如何にも。わざわざ私を訪ねに来たくらいだからな」
そう言って軽く指を上唇にあて、低い声で笑い始める。
「きらの弟だとよ。弟っつっても年子で、オマエらと同じ学年だそうだ。今、オトモダチ同伴できらを待ってるぜ」
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