【1】 暎

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   * 「……部長? 何やってるんですか?」  部室に到着すると、そこには、現在まだ初春だというのに(コンビニにはまだおでんと中華まんがあるというのに)、アイス(しかもガリガリ君)をくわえながら部室のドアに耳を押し付けている部長が居た。 「ぬふみぎひ」 「ぬ…盗み聞き?」  何とか聞き取って言葉を返すと、部長は半分残っていたアイスを一気に呑み込み(見てるこっちの頭が痛くなる…)、棒を遠くのゴミ箱に見事投げ入れた。 「傘でも借りに来たのか」 「あ、はい」 (さっきの「ぬふみぎひ」は一体…) 「今は客が来ているが、入る入らないはオマエの自由だ。面倒だから卒倒はするなよ」 「? 卒倒?――って、お客さん!? それって、アニメーション部にですか?」  アニメーション部にお客さんなんて初めてだ。  何だか嬉しくなってはしゃぐと、部長はニヤリと笑った。 「如何にも。わざわざ私を訪ねに来たくらいだからな」  そう言って軽く指を上唇にあて、低い声で笑い始める。 「きらの弟だとよ。弟っつっても年子で、オマエらと同じ学年だそうだ。今、オトモダチ同伴できらを待ってるぜ」     
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