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「ジュエル姫様!」
執事のセバスチャンが忙しなく動きながら、
「供養の宴が滞りなく終わり、皆様お帰りになられます。隣国の王様もいらっしゃいますので、どうぞご挨拶を!今ではこの国の最年長者であり……。」
(ハァ~。セバスチャンもまた話し出すと終わらないのよね。)
ジュエルは微笑むと、
「ほらほら、セバスチャン!お見送りしなくては!ねっ♪」
とウィンクして、お城の入口にスタンバイして、お帰りのドアを開いた。
一人一人に丁寧にお辞儀をして、今日の感謝の気持ちをお伝えする。
何時間かかっただろうか。
全ての来客を見送り、
(ふぅ~~~っ。)
と溜め息を漏らす。
後を継いだ、私の下の妹カレンに頭を下げる。
「カレン。いつもありがとう。これでエルサの最後(人魚の寿命が300年と言われているので基本的に300年まで法要すると決まっている。)の法要も無事終える事が出来た。カレンのお陰よ。ありがとう。カレンにはこの国まで納めてもらってしまって。ごめんなさいね。ありがとう。」
と優しく抱き寄せた。
「ジュエルお姉様。お気になさらないで。私はジュエルお姉様のお側で幸せよ。」
と優しく抱き締め返してくれた。
カレンは本当に優しく聡明な姫。
だからこそ、こんな出来損ないの長女の私も、こうしていられたのだと感謝してもしきれない。
(カレンありがとう。そしてエルサ……。私ももうすぐあなたの元にいけるわ。)
と海面を見上げた。
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