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止まらない風が吹く、終わりを迎えた集落で。
尽きようとしている命の灯を懸命に燃やしながら。
レヴィンとアイシャが、寄り添う。
「アイシャ、君を……愛している。」
「レヴィン様……私も、です」
薄れゆく意識の中で。
ふたりは想いを伝え、そして受け止めた。
「恋の始まりが、終わりだとは……皮肉なものだな。」
苦笑いを浮かべる、レヴィン。
アイシャは、優しい笑みで、ゆっくりと首を振ると、
「いいえレヴィン様。私たちの恋は……いま、始まったばかりです。」
そっと、空を見るアイシャ。つられて空を見る、レヴィン。
「風が永遠に吹くように……私たちの想いも、永遠。これから始まる恋は、私たちが魂となっても……永遠に、確実に育まれていくのです……。
その先の言葉は、アイシャが言う前から、レヴィンの脳裏に浮かんだ。
そして、ふたり同時に、言葉を紡ぐ。
「「この想いが、消えない限り……」」
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