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それから、100年の月日が流れた。
とある山中。
『風の杜』と呼ばれる地が存在する。
何百年も遺されていると言われる、大きな石碑は、絶えず風を呼ぶ精霊の拠り所として、
『精霊の碑』と呼ばれている。
そして、その碑には1本の剣がまつられている。
精霊の力を得た、勇者の剣として。
『精霊の剣』と、名を変えて。
とある小さな領土の歴史は、史実には残っていない。
『風の杜』に、かつて祈りと伝統の集落があった事など、今では誰も知らない。
そこには祈祷師がいた事も。
精霊の剣は、ただの兵士長の剣であった事も。
事実はすべて、風化した。
ただ、ひとつだけ……
『精霊と勇者は恋に落ち、死した後も、ふたりでこの地を守り続けている。愛する者同士、手を取り合って……永遠に。』
事実を知らない者たちが、偶然作った語り草。
それは、おそらくこの地の伝承として、永遠に語り継がれることになるだろう。
そこには、ひとつだけ事実がある。
『愛する者同士、手を取り合って……永遠に。』
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