終末を迎えても……

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「…………魔女……。」 集落を歩きながら、レヴィンは困り果てていた。 『旅人』として集落を訪れたレヴィンは、これまで体験したことの無い、手厚い歓迎を受けた。 その日の夜は宴を開き、酒を酌み交わし…… 集落の民達は、久方ぶりの来訪者を手厚くもてなしたのだった。 宴の間じゅう、もしものためにと携えていた短剣と魔封じの御守りは、鞘と懐から出ることはなかったのだ。 ごくごく自然な、『山奥の平和な集落』 幾多の戦地を駆け、地方をまわったレヴィンも、この集落には何の危険も感じなかったのだ。 「レヴィンさーん、今日は美味しいリンゴがあるよ!!」 「レヴィン!今度また、剣の稽古をつけてくれよ!!」 「レヴィンにーちゃん!また戦争ごっこしよー!」 次々と声を掛けられ、それに笑顔で応えるレヴィン。 それはまるで、領土とあまり変わらぬ光景。 (この集落に……どんな驚異があるというのだ……) レヴィンは、ただ疑問を感じるしかなかった。
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